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名古屋港水族館の飼育員一同さんは、まずは『河合塾』へ行ってください。

 名古屋港水族館(名古屋市港区)で、飼育中のカマイルカの「サラ」(雌、推定17歳)がジャンプの訓練中にプールの外に飛び出し、通路に落ちて死亡する事故が6月4日に起こった。

 毎日新聞東京版(6月6日朝刊)の式守克史記者の、静かな哀しみと怒りのこもった記事で事件を知って、陰鬱な気分になったが、ネット版を読んで絶句した(*1)。
 同記者の記事なのだが、日刊紙の記事とは若干ちがっていて、「アイは今後、別のイルカとペアを組むという。」という日刊紙には無かった一文が加わっている。

 『アイは今後、別のイルカとペアを組むという。』

 満2歳の誕生日に、おそらく目の前で、母親サラを失ったアイ。

 名港さん!!今やることは、それですか?
 目の前で母親を失ったアイの心のケアが最初でしょう?(*2)


 ペアを組むって、パフォーマンスに出す予定している場合じゃないでしょう?(*3)ナミちゃんの調査報告で『高度な飼育技術,医療技術を獲得』とか言ってるけど、真面目にやってください!!

 水族館でトレーニング中にイルカなどが事故死した例は、筆者の知る限り、1989年8月に米国シーワールドで、雌シャチのKandu5が亡くなった事件くらいだろう(*4)。母親Kandu5の死亡時に生後1年弱であった娘のOrkidは、同じプールの雌チャチに育てられたものの、なかなか難しい性格に生長してしまったようである。

 やはり、今回も疑問を持たざるをえないのは、名古屋港水族館の飼育・訓練環境である。
 6/5 14:53 中京テレビは、「後方宙返りのジャンプを練習中、プールの外の職員通路に落ち、胸を強く打って肺の破裂による出血で死んだという。」「名古屋港水族館では、『プールの周囲には落下防止策を施していたにもかかわらず事故が発生した。今後は、このような事故の再発防止に取り組みたい』とコメントしている。」と報じている。
 一方で、毎日新聞は、「後方宙返りジャンプをした際、勢い余って約5メートルの高さから落下した。死因は肺の破裂による出血死だった。今後は訓練の在り方を検討するなど再発防止策に取り組む。」としている。

 落下防止策がなされていたのか否か、はっきりしてほしい。
 ネット社会のこわいところで、落下の瞬間を見てしまった人の情報が幾つかあるが(苦笑)。

 いずれにせよ、イルカの体長・体重を考えて、プールの中央で訓練していれば、後方宙返りしてプールの外に出てしまう・・という事態は避けられたのではないか。
 鴨川シーワールドでは、ルーピングキックという後方宙返りの大技をしているが、プールも名古屋港水族館に比べて小さいし、動物もシャチはイルカに比べて体長・体重とも大きいが、失敗したという話はきいたことがない(*5)。プールの中央で、宙返りして尾びれでキックするボールの位置をシャチのジャンプ力に合わせて微妙に調節して行っているからだ。

 名古屋港水族館の飼育員一同の皆様、まずは『河合塾』(名古屋発祥の大学受験用の進学塾)で高校物理の授業を受けて、「遠心力」とか「力積」とか「重力」とか勉強なされてはいかがでしょうか?

 とにかく、飼育の目的は飼育展示であったはずなのに、本来の目的ではないはずのショーの訓練中に命を落とすとは本末転倒で、イルカのサラさんには『人間』を代表して、心からお詫び申し上げたい。

 私はシーシェパードの活動には全く共感しない。ましてや、シーシェパードの人が太地町でクジラの命を余すところなく戴いてきた漁民の皆さんに向けた言葉を軽蔑する。
 しかし、今回のカマイルカ・サラさんの死、シャチ・ナミさんの死については、シーシェパードの使った言葉が、一番ぴったり合うような気がしており、今後、この記事を英訳する時には、その言葉を訳語として使用するつもりである。

 名古屋港水族館におかれては、飼育技術以前の問題について、大胆に見直しをなさってはいかがでしょうか。

(*1)ネット上の記事は消えるので、全文を掲載する。
<名古屋港水族館>カマイルカ「サラ」死ぬ 訓練中飛び出し
毎日新聞 6月5日(日)18時34分配信

 名古屋港水族館(名古屋市港区)は5日、飼育中のカマイルカの「サラ」(雌、推定17歳)がジャンプの訓練中にプールの外に飛び出し、通路に落ちて死んだと発表した。

 水族館によると、サラは4日午後2時ごろ、後方宙返りジャンプをした際、勢い余って約5メートルの高さから落下した。死因は肺の破裂による出血死だった。今後は訓練の在り方を検討するなど再発防止策に取り組む。

 サラは体長2.11メートル、体重106キロ。08年12月、和歌山県太地町沖で捕獲され、水族館に来た。09年6月に「アイ」(雌)を出産し、今年1月から親子でショーに出て人気を集めていた。4日はアイの誕生日だった。

 飼育を始めた時からサラを見守っていた斎藤豊・飼育展示第2課長は「サラはこの水族館で出産した初めてのカマイルカだった。アイの誕生日に亡くなったのは非常にショック」と肩を落とした。アイは今後、別のイルカとペアを組むという。

 水族館では1月にシャチの「ナミ」(雌、推定28歳)が死んだ。外部有識者らで構成する調査委員会が4日、「飼育管理体制の改善が不十分だった」との検討結果を公表した。【式守克史】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110605-00000031-mai-soci
(*2)筆者は、名港水族館がカマイルカのルルちゃんをパフォーマンスに出演させていることも疑問である。ルルちゃんは、シャチのクーちゃんを見送り、シャチのナミちゃんを見送ったイルカである。ずっとシャチ2プールで同居していたシャチのナミちゃんの傍らで今際の瞬間を医療プールで付き添い、いきなりイルカと同居させられショーに駆り出されるルルちゃん。不憫である。
(*3)名港水族館のファンの方のブログには『今日、少しだけ行きましたがバースデイイベントでは、連続ジャンプを拒否するなど様子がおかしかったですね。 飼育員も平常心を保っているものの、動揺を隠すのに必死の様子でした。』とある。母を前日うしなった2歳のイルカに連続ジャンプを強要する鬼畜集団。動物は飼い主を選べない。愛知県・名古屋市が行うことは、シャチの導入ではなくて、『いのちの教育』の徹底的な見直しではないだろうか。
(*4)くわしくは、Kandu5、Corkey2あたりでネット検索されたい。
(*5)シャチがプールから飛び出してしまった事故は、ラビーが勢いあまって飼育員用のプールに飛び出してしまった事故がある。くわしくは『さかまた』のバックナンバーを検索されたい。

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No title

一人の水族館ファンとしてコメントさせていただきます。

もう少し勉強されてからこういうことを書かれたらいかがですか?
だれにも何も言わせないくらい勉強して、それでもなお批判したいのなら書けばいいと思います。

今のままでは、知ったかぶりをして無知をさらけ出しているだけのように見えてしまいます。

Re: No title

昼間の通行人さんへ、
コメント恐れ入ります。
プールから飛び出す事故は他にもありましたが、トレーニング中の事故と水族館が公式に認めたのは、数少ない例ではありませんか?
私は、トレーニング技術云々以前の問題として、管理体制がいかがなものかと思います。体重300キロのイルカが上から落下してきたら、見学者即死ですよ。そういう危険に対処出来ていないところが、甘いと思います。
勉強不足は否定しませんが、色んな内輪情報をブログに書く必要もないと思っています。適切なタイミングになり、先方に迷惑とならない場合には、画像とともに記事をアップしたいとは思っていますが。
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